
昼夜を通じた再エネ活用を電源全体から考える
太陽光発電による再生可能エネルギーを昼間だけでなく夜間を含む時間帯で活用するには、発電設備だけではなく、自己託送、ESS、電力調達、需給管理を含めた電源構成が必要です。
太陽光発電は天候や時間帯によって発電量が変わり、夜間には発電しません。
一方、工場、物流施設、冷凍・冷蔵施設、データセンターなどでは、夜間も電力を使用する場合があります。
株式会社サンパワーでは、太陽光発電、自己託送、ESSを単独の設備としてではなく、需要施設の電力使用状況に合わせて組み合わせる電源設計として捉えています。
このページでは、24時間電源を検討する際の基本的な考え方、時間帯ごとの電力の流れ、ESS容量、シミュレーションに必要なデータ、実現に向けて確認したい条件を整理します。
このページでいう「24時間電源」とは
本ページでいう「24時間電源」とは、太陽光発電、自己託送、ESS、不足時の電力調達などを組み合わせ、夜間を含む時間帯で必要な電力をどのように確保するかを検討する電源構成を指します。
自己託送やESSを導入するだけで、24時間すべての需要を再生可能エネルギーで賄えるとは限りません。
実際の構成は、次の条件によって異なります。
・時間帯ごとの電力使用量
・太陽光発電量
・天候や季節による発電変動
・発電地と需要地の条件
・自己託送できる電力量
・ESSの容量と出力
・充放電効率と蓄電残量
・不足する電力の調達方法
・系統接続、契約、需給管理の条件
・設備費、運用費、託送に関係する費用
※本ページは、無停電電源、非常用電源、再生可能エネルギー100%、CO₂排出ゼロなどを保証するものではありません。
太陽光発電だけでは24時間をカバーできない理由
太陽光発電は、日中に再生可能エネルギーをつくる有効な方法です。
しかし、発電量は一定ではありません。
夜間には発電しない
太陽光発電は日没後には発電しないため、夜間に電力を使用する施設では、別の電源が必要です。
天候によって発電量が変わる
曇天や雨天では、晴天時より発電量が少なくなる場合があります。
季節によって発電時間が変わる
夏と冬では、日照時間、太陽高度、発電量が異なります。
発電と需要の時間帯が一致しない
発電量が多い時間帯と、工場や施設の電力需要が大きい時間帯が一致するとは限りません。
昼間に余剰電力が発生しても、その電力を夜間までそのまま利用することはできないため、ESSへの充電や別の活用方法を検討します。
24時間電源を構成する4つの要素
昼夜を通じた電源構成を考える際は、主に次の4つの要素を組み合わせます。
1.太陽光発電
昼間に再生可能エネルギーを発電します。
需要施設の屋根や敷地へ設置する自家消費型太陽光発電だけでなく、離れた発電候補地を活用する構成も考えられます。
2.自己託送
離れた場所にある自らの発電設備や蓄電設備から、一般送配電事業者の送配電ネットワークを利用して、制度上の要件を満たす需要施設へ電気を届ける仕組みです。
発電設備と需要施設の関係、契約、系統接続、計画提出、需給管理などについて個別に確認する必要があります。
自己託送の制度や基本的な仕組みについては、「自己託送とは」で詳しくご案内しています。
自己託送とは >
3.ESS
ESSは、利用可能な電力を充電し、発電量が少ない時間帯などに放電する設備です。
昼間の余剰電力を充電して夕方や夜間に放電することで、発電と需要の時間差を調整します。
ただし、ESSは電気を新たにつくる設備ではありません。
充電できた電力量、使用可能な蓄電範囲、PCS出力などを超えて放電することはできません。
4.不足時の電力調達
太陽光発電とESSだけでは需要を満たせない時間帯には、小売電気事業者などから電力を調達する構成を検討します。
再生可能エネルギー設備だけで全需要を賄うことに限定せず、設備規模、費用、運用の安定性を含めて、現実的な組み合わせを考えることが重要です。

時間帯ごとに変わる電力の流れ
24時間電源の構成は、1日を通して同じではありません。
発電量、電力需要、ESSの蓄電残量に応じて、電力の流れが変わります。
昼間
太陽光発電によって電気をつくります。
発電した電気は、需要施設で利用するほか、自己託送によって離れた需要施設へ届けます。
需要を上回る電力があり、設備や運用の条件を満たす場合は、ESSへ充電します。
夕方
日射量が低下すると、太陽光発電量も少なくなります。
太陽光発電や自己託送だけでは不足する部分をESSの放電や小売電力などで補います。
夜間
太陽光発電は停止します。
ESSに充電した電力が残っている場合は、夜間需要に合わせて放電します。
ESSだけでは不足する場合は、小売電力などから調達します。
翌朝
太陽光発電が再開するまで、ESSの蓄電残量や不足電力の調達によって需要へ対応します。
発電が始まった後は、当日の需要、天候予測、ESS残量などを確認しながら、電力の利用と充電を調整します。

自己託送とESSを組み合わせる役割
自己託送は、離れた場所にある発電設備などの電気を需要施設へ届ける仕組みです。
ESSは、電力を届ける場所を変える仕組みではなく、電気を利用する時間を調整する設備です。
この2つには異なる役割があります。
自己託送の役割
・離れた発電地を活用する
・発電地と需要施設を送配電ネットワークでつなぐ
・需要施設の屋根や敷地だけに依存しない発電構成を検討する
・複数拠点を含む電源構成を検討する
ESSの役割
・発電量と電力需要の時間差を調整する
・昼間の余剰電力を別の時間帯へ移す
・夕方や夜間の需要へ対応する
・電力使用量の変動に合わせて充放電する
組み合わせることで検討できること
自己託送とESSを組み合わせることで、離れた発電地から電力を届けるだけでなく、昼間に発電した電力を夕方や夜間へ移す構成を検討できます。
ただし、発電量、需要、ESS容量、系統接続、契約、需給管理などの条件を満たす必要があります。
ESS容量を考えるときの主な確認項目
24時間電源を目指してESSを検討する場合、蓄電池容量だけを大きくすればよいとは限りません。
主に次の項目を確認します。
夜間に必要となる電力量
夜間にどの程度の電気を使用するのかを時間帯ごとに確認します。
夜間需要が大きい施設ほど、ESSへ求められる電力量も大きくなる傾向があります。
ESS容量
ESS容量は、蓄えられる電力量をkWhで表します。
ただし、表示されている容量のすべてを日常的に使用できるとは限りません。
蓄電池の保護、運用範囲、メーカー仕様などを考慮します。
PCS出力
PCS出力は、一度に充電または放電できる電力をkWで表します。
蓄電池容量が大きくても、PCS出力が需要に対して小さい場合は、必要な電力を同時に放電できないことがあります。
充放電効率
充電した電力量のすべてを放電して利用できるわけではありません。
電力変換、設備内部、ケーブルなどで損失が発生します。
蓄電池の劣化
蓄電池は、使用期間や充放電回数などによって容量や性能が変化します。
長期間の運用を考える場合は、将来の実効容量も確認します。
天候の変化
曇天や雨天が続くと、ESSへ十分に充電できない場合があります。
晴天日の発電量だけでなく、季節変動や連続する悪天候も考慮します。
設備費と利用効果
全需要をESSで賄うために設備を大きくすると、設備費、設置面積、系統条件、運用費なども増加します。
不足電力の調達と組み合わせた方が、設備規模や運用を現実的に整理できる場合があります。
24時間電源の検討に必要なデータ
電源構成を検討するには、月間や年間の電気使用量だけでなく、時間帯ごとのデータが重要です。
主に次の情報を確認します。
需要施設に関する情報
・30分ごとの電力使用量
・月別、日別、時間帯別の使用電力量
・契約電力
・操業時間、稼働日、休業日
・平日と休日の違い
・季節による需要変動
・将来の設備増設や使用量変化
・停電時にも維持したい負荷の有無
発電設備に関する情報
・発電候補地
・設置可能な太陽光発電容量
・日射条件
・月別、時間帯別の発電量予測
・系統接続条件
・発電設備と需要施設の関係
・自家消費と自己託送の配分
ESSに関する情報
・蓄電池容量
・PCS出力
・使用可能な蓄電範囲
・充放電効率
・劣化条件
・充放電回数
・設置場所と系統接続条件
・運用方法
契約・運用に関する情報
・自己託送の契約条件
・計画提出と需給管理の体制
・小売電力の契約
・不足電力の調達方法
・託送や運用に関係する費用
・発電、蓄電、需要の管理主体
すべての情報が最初から揃っていない場合でも、現時点で確認できる資料から初期検討を進められます。
シミュレーションで確認する内容
サンパワーでは、需要、発電、自己託送、ESSを時間帯ごとに整理し、設備構成を検討します。
シミュレーションでは、主に次の内容を確認します。
・太陽光発電による時間帯別の発電量
・需要施設の時間帯別電力使用量
・自己託送によって届ける電力量
・自家消費する電力量
・ESSへ充電する電力量
・ESSから放電する電力量
・ESSの蓄電残量の推移
・昼間に余る電力量
・夜間や悪天候時に不足する電力量
・小売電力などから調達する電力量
・設備容量を変更した場合の比較
・再生可能エネルギーを利用できる割合
・設備構成と費用の関係

シミュレーション結果は、将来の発電量、電力使用量、電力価格、設備性能などを保証するものではありません。
実際の運用結果は、天候、需要変動、設備状態、契約、制度、運用方法などによって異なります。
24時間電源の実現が難しい理由
太陽光発電、自己託送、ESSを組み合わせても、24時間を通じた電源構成には複数の課題があります。
発電量と需要量が一致しない
太陽光発電量が多い時間と、電力需要が大きい時間が一致しない場合があります。
夜間需要が大きい
夜間も多くの電力を使用する施設では、ESSだけで需要を賄うために大きな容量が必要になる場合があります。
悪天候が続く場合がある
太陽光発電量が少ない日が続くと、ESSへ十分に充電できない可能性があります。
設備を大きくすると費用も増える
太陽光発電設備やESSを大きくすれば供給できる電力量は増えますが、土地、設備費、工事費、系統接続、保守などの条件も変わります。
自己託送には運用が必要
自己託送では、発電量と需要量の予測、計画提出、実績管理、契約などを含む運用体制が必要です。
制度・契約条件の確認が必要
発電設備と需要施設の関係、系統接続、自己託送、小売電力、需給管理などについて個別に確認する必要があります。
そのため、設備単体ではなく、発電、蓄電、送電、需要、調達、運用を一つの構成として整理することが重要です。
24/7 CFEとの違い
24/7 CFEは、電力を使用する時間帯と、カーボンフリー電源による供給を時間単位で対応させる考え方です。
本ページで扱う24時間電源は、太陽光発電、自己託送、ESS、不足時の電力調達などを組み合わせ、昼夜を通じた電源構成を検討する考え方です。
24時間電源、24時間再生可能エネルギー、24/7 CFE、CO₂フリー電力、非化石証書を含む実質再生可能エネルギーは、それぞれ評価方法や条件が異なります。
どの目標を設定するかによって、必要となる設備、契約、証書、計測、評価方法が変わります。
非常用電源・BCPとの違い
本ページで扱う24時間電源は、主に通常時の電力利用を対象とした電源構成です。
停電時にも電力を供給する非常用電源や、瞬時の停電を防ぐ無停電電源とは、目的と設備構成が異なります。
停電時の電力供給を目的とする場合は、次のような項目を別途検討します。
・自立運転機能
・系統から切り離すための設備
・非常用系統
・供給対象とする重要負荷
・切替方法と切替時間
・非常時に確保する蓄電残量
・非常用発電機との連携
・停電時の運用手順
通常時に系統連系しているESSが、停電時にそのまま需要施設へ電力を供給できるとは限りません。
BCPや非常用電源を目的とする場合は、通常時の電源構成とは分けて確認する必要があります。
自己託送の実績から次の電源設計へ
サンパワーでは、自己託送を構想だけでなく、実際のプロジェクトとして進めてきました。
2022年11月、豊国製油株式会社様向けの自己託送システムが三重県津市で完成しました。
この事例は、昼間の電力を再生可能エネルギーで活用する自己託送の取り組みです。
現在は、この実績と運用データをもとに、夜間の電力需要も含めた次の電源構成を進めています。
完成している取り組み
・自己託送システムの構築
・昼間の再生可能エネルギー活用
・発電地と需要施設をつなぐ運用
次の段階として検討する内容
・夜間の電力需要
・ESS容量とPCS出力
・時間帯ごとの充電・放電
・不足電力の調達
・昼夜を通じた再生可能エネルギー活用
・運用データを用いたシミュレーション
完成済みの自己託送実績と、夜間を含む今後の計画は区別してご案内しています。
自己託送導入事例 >
24時間電源を検討する流れ
STEP 1 目的を整理する
再生可能エネルギーの利用拡大、電力コスト、夜間電力、脱炭素、BCPなど、検討する目的を整理します。
⇩
STEP 2 電力使用状況を確認する
需要施設の30分値データ、契約電力、稼働時間、季節変動などを確認します。
⇩
STEP 3 発電候補地と発電量を整理する
需要施設の屋根や敷地、離れた発電候補地などを確認し、設置可能な設備容量と発電量を試算します。
⇩
STEP 4 自己託送の条件を確認する
発電設備と需要施設の関係、系統接続、契約、需給管理など、自己託送に必要な条件を確認します。
⇩
STEP 5 発電量と需要量を比較する
時間帯ごとの太陽光発電量と電力需要を比較し、余剰と不足を確認します。
⇩
STEP 6 ESS容量を比較する
複数のESS容量とPCS出力を設定し、充電量、放電量、夜間供給量、残量などを比較します。
⇩
STEP 7 不足電力の調達方法を整理する
ESSだけでは不足する時間帯について、小売電力などとの組み合わせを整理します。
⇩
STEP 8 設備・契約・運用体制を具体化する
太陽光発電、ESS、自己託送、系統接続、需給管理、保守などを含む全体構成を具体化します。
※実際の検討手順は、需要施設、発電候補地、系統接続、設備、契約などの条件によって異なります。
24時間電源と自己託送・ESSについてよくあるご質問
Q.自己託送だけで24時間の電力を賄えますか?
A.自己託送だけで24時間の需要を賄えるとは限りません。
太陽光発電は夜間には発電しないため、ESS、不足電力の調達、その他の電源などを含めた構成が必要です。
Q.ESSがあれば、夜間も再生可能エネルギーを使えますか?
A.昼間などにESSへ充電できた電力は、夜間に放電して利用できます。
ただし、充電できた電力量、ESS容量、PCS出力、充放電効率、夜間需要などによって利用できる量は変わります。
Q.ESSは何時間分必要ですか?
A.施設の電力使用状況によって異なります。
夜間需要、必要出力、太陽光発電量、充放電効率、劣化、費用などを確認し、複数の容量を比較する必要があります。
Q.悪天候が続いた場合はどうなりますか?
A.太陽光発電量が少ない日が続くと、ESSへ十分に充電できない場合があります。
不足する電力は、小売電力などから調達する構成を検討します。
Q.不足する電力はどのように確保しますか?
A.小売電気事業者からの電力調達などを組み合わせます。
具体的な調達方法は、需要施設、契約、運用体制によって異なります。
Q.24/7 CFEと同じ意味ですか?
A.同じ意味ではありません。
24/7 CFEは、時間帯ごとの電力使用量とカーボンフリー電源を対応させる考え方です。
本ページの24時間電源は、昼夜を通じた電源構成を検討する考え方として使用しています。
Q.停電時にもESSの電気を使えますか?
A.通常の系統連系設備が、停電時にそのまま電力を供給できるとは限りません。
停電時の利用を目的とする場合は、自立運転、切替設備、非常用系統、重要負荷などを別途設計する必要があります。
Q.検討にはどのようなデータが必要ですか?
A.電力会社などから取得できる30分値データ、契約電力、稼働時間、発電候補地、設備導入の目的などがあると検討しやすくなります。
資料がすべて揃っていない場合でも、現時点の情報から確認項目を整理できます。
Q.発電候補地が決まっていなくても相談できますか?
A.はい。
需要施設の電力使用状況や目的を確認し、どのような発電候補地や設備構成が考えられるかを整理します。
Q.24時間再生可能エネルギーを保証できますか?
A.保証できるものではありません。
天候、発電量、需要、ESS容量、契約、制度、運用などによって結果は異なります。目標とする再生可能エネルギーの評価方法も含めて個別に確認する必要があります。
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24時間電源を見据えた構成についてご相談ください
24時間を通じた再生可能エネルギー活用は、太陽光発電設備やESSを設置するだけで実現するものではありません。
需要施設の電力使用状況、発電候補地、自己託送、ESS容量、不足電力、系統接続、契約、運用などを一つの構成として確認する必要があります。
サンパワーでは、30分値データや発電条件をもとに、太陽光発電、自己託送、ESSを組み合わせた電源構成をご提案します。
まだ発電候補地やESS容量が決まっていない初期段階でも ご相談いただけます。
法人の再エネ活用を全体から整理したい方
太陽光発電、ESS、自己託送、ソーラーシェアリングなどを比較したい場合は、法人向け再エネ構成診断をご利用ください。
本診断は、法人向け再エネ活用の初期検討を整理するための簡易チェックです。
※本ページは、太陽光発電、自己託送、ESS等を組み合わせた電源構成の一般的な考え方をご案内するものです。
自己託送の利用、系統接続、設備の設置、24時間の電力供給、再生可能エネルギー100%、CO₂排出ゼロ、停電時の電力供給、電力コストの削減などを保証するものではありません。
実際に検討できる構成は、電力使用状況、発電候補地、系統接続条件、設備仕様、契約、需給管理、制度、天候、市場環境などによって異なります。
正式な設計、見積り、系統接続回答、電力調達、再生可能エネルギー評価、費用対効果等については、個別条件を確認する必要があります。
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太陽光発電、蓄電池、自己託送、ソーラーシェアリングなどは、単体で考えるだけでなく、電力の使い方や施設条件に合わせて組み合わせを検討することが大切です。
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